2016/11/21渡辺 明寛
こんにちは、住工房の渡辺です。
最近、ふと思い出したのが
ル・コルビュジエ(1887年~1965年 フランスで活躍した建築家)の「小さな家」。
きっかけは、社内で「人が美しく感じる比率は?」と聞かれて、
黄金比、モデュロール・・・と思い出したからです。
出典:G.PLANNING Co. Ltd.
ル・コルビュジエは、黄金比を人体の寸法に当てはめることで、
生活空間や家具にも黄金比の美しさを求めモデュロールという独自の建造物の寸法を考案。
20世紀を代表する建築家で、世界文化遺産登録が決定し、脚光を浴びる「国立西洋美術館」を設計。
ということで、
今回は、ル・コルビュジェの「小さな家」についてです。
出典:スイス政府観光局
コルビュジェが36歳の時に建てた家は、床面積60m2(18坪)という”小さな家”です。
両親のために設計した家だったのですが、父親はこの家に1年程生活して亡くなったために、
実質「母の家」となりました。
当時60才だった母が、老後を快適に過ごせるように良く考え抜かれたプランで、
その設計がほとんど完成してから、それに合う土地を後から探したとのこと。
コルビュジェらしい合理的なやり方です。
その計画は、
1. 南向きにあって、眺めがひらけて良いこと、
2. 質素な中にも生活に必要な機能を全て備え、
かつ、それが最小限に近いこと。
各部分は融通性と回遊性を持ち室内を見通せるようにして、
小さい家ながら、そこに空間の広がりと豊かさを与えることでした。
限定された空間を最大限に活用するため、稼働する照明器具や折り畳める壁があったりと、
実は相当なカラクリ屋敷。
室内にはコルビュジェの手による家具もいくつかあり、
そのひとつが19歳のコルビュジェが母親のためにデザインした裁縫机。
ル・コルビュジエ 裁縫机
右側の前脚だけが逆三角錐型になっているのは、中に編み物棒を収納するためです。
天才肌で理詰めのデザイナーのようでいて、実はこういうもの凄く所帯じみた配慮を忘れないところが
コルビュジェの良さなのだと思います。
北欧の片田舎の湖のほとりに、小さな家が生み出され、
かつてピアノ教師だったコルビュジェの母は、ピアノを弾いたり、
陽のいっぱい当る大きな横長窓から湖や遠くの山々を眺め、
穏やかな日々の暮らしを楽しみ、101歳で亡くなるまで36年間その家に住まわれたとのこと。
ご両親を想い考え抜いた優しさ溢れるプランの家で、
こんなにも永く過ごしてくれたことを嬉しく感じたのではないかと想像してしまいます。
老齢化社会となり、お年寄りの一人住まいが多くなる時代に、
コルビュジェの質素で小さな”母の家”は、とても多くの示唆を与えてくれます。
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