Renovation60 S様邸
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S様は譲り受けた祖父母の家を耐震リノベーションするご相談にみえました。
お父さまがその家で育ち、祖父母様が亡くなられてから暫く空き家になっていた築60年の古き良き自由設計の家。
「思い出がある祖父母の家なので、できるなら風情を残したリノベーションがしたい…」
そこでこれから快適に安心して住み続ける為に、断熱と耐震補強を行う大規模リノベーションを計画しました。
弊社の耐震設計に長けた一級建築士がいるからこそ現代の建築基準をクリアした安心な住まい。
(名古屋市の耐震補強補助金クリア)
外構には夏の直射日光を和らげ格子越しに趣きを添えるイロハモミジを残したこともこだわりです。
リノベーションができること、それは家が持つ趣を残しつつ、快適性を押さえながら暮らしを変えること。
スクラップ&ビルドからストック活用である時代。家の良きものを残し、これから安全に永く住まう家へ。
情緒面と機能面の融合させる、リノベーションにしかできない価値を示した施工事例です。
欄間や釉薬タイル、土間の石畳は残し、木製の格子戸を取り付けました。
格子戸は経年変化による木材の変色(灰色化)する事も計算して、雰囲気に合わせています。
摺りガラスから差し込む光に懐かしさを感じます。
通り抜けできるプライベート用の玄関クロークには趣味のキャンプ用品が収納できる棚幅にしました。
下駄箱スペースも十分確保しています。
通路が、プライベート用と主玄関の二つに分けられるので、玄関はいつも趣のある佇まいです。
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レトロテイストな格子窓。家の外観からもこの窓が印象的です。
窓辺下のサイドボードは既存の家具を格子窓と合わせリメイクしました。
窓辺から見える庭木のイロハモミジ。夏は葉が茂り木陰をつくり、冬は葉が落ちて陽だまりの空間をつくります。
カリモクのカウチとテーブルはおばあちゃんの使っていた家具です。
懐かしさが詰まったあたたかな空間に仕上がりました。
摺りガラスの格子窓が印象的な造作ドア
既存のブラケット照明に合わせたテーブルライトはお施主様がセレクトしました。
インナーガレージだった場所をリビングとしてリノベーションしました。天井を高くし、スキップフロアの高低差で空間を広くさせ、リビング下はカーポートの空間を利用して、床下収納にしました。
室内はすべて塗り壁(エマルジョン塗装)で、手仕事のぬくもりを感じます。
お施主様のお好きなテイストを汲み取って提案したフランクロイドライトの照明。
造り付けの棚も同じナラでコーディネイトしています。
空間を無駄にしないぴったりの寸法で設計・デザインできるのもオーダー収納のメリット。
扉は突板を使い、ワークトップは扱いやすいステンレス。背面収納の壁は、温もりに溢れた素朴な風合いを醸し出すタイルを選びました。
キッチン扉は汚れに強いメラミン材をセレクト。あえて壁付けキッチンを選び、台所に立っていたあの姿を思い出すようなノスタルジーな雰囲気をなくさない空間に。
飾り棚のキッチン側は小物を収納でき、ダイニング側は一つ一つ素材感のある白のタイルを施しました。
壁付けキッチンのゴミ箱スペースをさりげなく隠します。
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自然光が部屋の隅々にいきわたるように摺りガラスを入れた建具を取り付けました。
そして床は全フロア栗材をセレクト。懐かしい心地よさを得られる優しい空間に。
階段入口に引き戸を取り付けました。寒さ、暑さを軽減させることができます。
コロンとした丸いフォルムが温かみを感じるドアノブ使うほどに味わいが増すようです。
大きなアンダーシンクと水栓やライトもレトロ感漂う造作洗面台。ヘキサゴンのモザイクタイルがよりノスタルジーな印象に。鏡裏は開きの収納スペースになっています。
ナラ集成材を使用した手洗いカウンターにそって楕円のデザインタイルが奥行を感じさせます。
白い塗り壁の余白がさわやかなトイレルーム。
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寝室は右奥に壁と分けたオープンなウォークインクローゼットを造作しました。ステンレスポールやしまうものに合わせた棚板をたっぷり組み込んでいます。
クローゼット奥には掛け敷布団を仕舞える棚を造作しました。オープンなので布団の出し入れも自在です。
古き良き昭和にタイムスリップしたような家の趣をあえて残した外観。そして以前庭に植わっていたイロハモミジをシンボルツリーとして配置しました。
ご近所に住むご老人が「このモミジが残ってよかった」と通りがかりに言葉を掛けてくださいました。
作り込み過ぎず、これから庭も自分でつくっていけるように、駐車場はあえて砕石や砂利と栗石を入れています。
家のもつ佇まいを大切に残し、安心して永く住まう家。住工房はこれからも「住み継ぐ」をスタンダードとして歩んでまいります。
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